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太極拳ができるようになるまで③ - 「『正しい』って何?」

先日のブログで、間違いが起こる理由を説明しました。




東京にいたときに通っていた太極拳教室では、新しい動きを教えることはありましたが、習った動きを治すことはほとんどありませんでした。なぜ、間違っていることを治さない、と言うことがあるのでしょうか?


面倒臭い、って言うのはありえます。間違いが起こる理由は様々あります。理由に応じて異なる対応をする必要もあり、正直言って面倒臭いです。


東京の教室では、古株の人が教える役をやっていました。同じぐらい古株の人もいるわけで、そう言う人たちの動きを治すのは、人間関係を損なう可能性がある、みたいなことを聞いたことがあります。


教える側が自分の優位性を保つために、あえて教えない、って言うのもあります。全て教えてしまって自分より上手くなってしまうと、立場がない、って言う感じでしょか。


生徒さんが修正されることを望まない、って言う場合もありえます。単に運動に来ているだけなので、正しくなくても良い、正しくするのは面倒臭い、みたいな感じです。


やらない理由は色々とありますが、「修正」を加えなければいけない理由は一つです。治さないと正しくできないから、です。


では、なぜ「正しく」なければいけないのでしょうか。武術として極めたいわけではないので、そんなに正しくしなくてもいいのではないか、って質問を受けたことがあります。


「正しい」にもいくつかのレベルがあります。


まずは、基礎的な身体の使い方の正しさ。よく言われるのは、膝がつま先より前に行かない、膝が内側に入らないようにする、といった膝関連のものです。これらは、正しくしないと膝を痛めることにつながります。こういった、正しくしないとケガの元になる内容に関しては、「正しく」しないのであれば、太極拳をやめた方がご自身のみのためです。


太極拳をやり始めると出てくる四文字熟語が要求すること、例えば、虚灵顶劲。簡単に言うと、頭を天井に向けて、目を前に向ける、そしてできるだけリラックスをする、といった意味です。要は、姿勢をよくする、でも、力を入れた「気をつけ」、つまりピシッとした直立不動ではなく、すらっと真っ直ぐに立つことです。


変に身体が曲がっていたり、力が入っていたりすると、「気」の巡りが理想通りにいかず、健康を害する元になる、と言われます。太極拳のメリットの一つは、気をしっかりと循環させて、身体を本来あるべき状態にする、ということです。折角太極拳をやって、健康になろうとするのであれば、これらの要求にも従っておいた方が良さそうです。


動作を行うときの、手足の向き、肘や手首の角度、足を蹴り上げたときの高さ、等々、色々な要求があります。これらは、套路の動きの裏側にある武術的な意味合いに沿って要求が決められています。武術として追求しないのであれば、これは「正しく」なくてもよさそうにも感じます。


私自身は、それでも正しくした方が良いと思っています。太極拳は、内家拳とも言われます。外面だけではなく、内面、つまり心の状態を重視します。太極拳を通じて、心の安定をもたらすレベルになるためには、様々な身体的な要求を、頭で考えなくてもできるようにならないと進めないと思います。あれ、この動きって何をやらなければいけないんだっけ?と考えながら套路をやっているうちは、精神的に集中して、心があちこちに飛ばないようにはならないでしょう。


「正しい」の判断は、誰がするのが良いのでしょうか。自分でしてしまっている人が結構多いと思います。間違いを指摘しても、要求通りにやっている、と反論している生徒さんをみたことが何度かあります。「思い込み」で正しいと思っている間は、ある意味、「慢心」に浸っているといっても良いと思うので、本当の意味での心の安定は得られないように思います。


第三者である師匠に、「合格」を出してもらって初めて、最低レベルの「正しさ」が確保されると考えています。


あえて「最低レベル」といったのは、それで終わりというわけではないからです。套路の修正がもう少しで終わろうとしている私自身、最近、自分の套路に様々な問題があって、自分でもさらに修正を加えていくことを心から感じています。この最低レベルっていうのは、自分で自分の套路を見つめられるようになること、と同義なのではないかと思っています。


この「合格」を師匠に出してもらうまでの過程がまさに「修正」です。



これからもいろいろな話題を紹介していきます。

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