実は太極拳には様々な流派があります。こんな逸話があります。100人の太極拳実践者がいるときに、そのうちの1人が電球を取り替える作業を行いました。それを見ていた残りの99人は、「そういうやり方もあるね、でもうちの流派ではそういう方法ではやらない」というそうです。
あまたある流派の中でも、日本で比較的よく耳にするのは、陳式、楊式、呉式の三つです。これに孫式、武式を足した5つを五大流派と呼びます。
色々な種類の太極拳があります。教室もいろいろなところにあると思います。そうなるとどういう基準で教室を選べばよいか、という質問をよく受けます。
とと
どんな習い事でもそうだと思いますが、始めたら続けないと上達はしません。続けるために一番重要なのは通いやすいこと、だと思います。教える人が素晴らしく、片道2時間かけて通い続けるような人もいると思いますが、それほど素晴らしい先生も、そこまで根を詰められる生徒さんもまれだと思います。自分が住んでいるところの近所、通勤通学で使う路線の沿線でしかも駅からそれほど遠くないところ、なんていうと通うこと自体が面倒にはならないと思います。
次は教える人との相性だと思います。どれだけ素晴らしい内容のことを教える人でも、その人との相性が合わないと長続きはしないでしょう。教室に行ったらなんだかすっきりした気分になれる、というのは教える人、教室を運営する型の人徳があるだけでなく、その人と生徒さんの相性が合っていなければ普通では起きないと思います。でも、相性が合うかどうかを見極めるのはなかなか難しいですね。私の場合は、第一印象を重視します。昔、まだ仕事をしていたころ、採用の面接をやるときも、候補者が部屋に入ってきて、座り、第一声を発する時に大体採用するかどうかの判断をしていました。残りの会話は、自分の第一印象を理由づけるためにしているようなものでした。実際に教室を訪問してみて、教えてくれる人と話をしてみると良いでしょう。
この二つを満たす教室だけでも探すのは簡単ではないと思います。なので、どの流派を選んだらよいか、というのは教室を選ぶときの基準に入れる必要はないと思っています。逆に何かの理由で特定の流派を学びたいと思うような状況になったら、それこそ片道数時間かけてでも通い続けることができると思います。
今まで教えてきた経験からすると、本当に足腰をしっかり鍛え、太極拳を自分の生活に取り込んで健康に資するようにできるようにするためには、毎週2回は通えるような教室だとよいと思います。週に一度しか教室がないと、せっかく前の週に鍛えた筋肉が次のレッスンの時までにはもとに戻ってしまいます。また、何らかの理由でレッスンをお休みした場合にはなおさらです。2週間練習をしないと、トレーニングを始める前の状態に戻ってしまう、っていう話をよく聞きます。家で学んだことを復習すればまだよいのですが、私の経験では、定期的に自宅で練習を詰める人は非常に少ないです。仮に練習をできていたとしても、教室に来た時に、なぜか家でやるときにはそれほどきつく感じない、という話をされることが良くあります。姿勢だったり、動く角度だったりの正確性が伴わないため、中途半端な動きになってしまうことが大きな理由です。
私の知る限りシンガポールでも、週に2回、きちんとレッスンを提供している教室はそれほど多くありません。多くは公民館みたいなところで、週に1度のレッスンだったりします。
私のホームページは、これから開校を予定している私の学校を紹介するためにやっているので、「どこで学んだら良いか」と聞かれれば、「うちで学ぶのが一番です」と言えればよいのですが、これまでに書いてきた理由で、そういってしまうとちょっと違うと思います。
とはいえ、いろいろなことをこのホームページでご紹介する中で、私の教室に関心を示してくださり、将来的に一緒に太極拳を学ぶ仲間が少しでも増えてくれれば幸いです。これまでは、教室を大きくすることはあまり考えていませんでしたが、もし、万が一、うちの太極拳をやりたいと考えてくれる人が大勢出て、あなたのご近所にも教室が出せるようになったらという夢をちょっとだけ抱きました。
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