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言葉にすることの大切さと難しさ

執筆者の写真: Mitch SatoMitch Sato

先日、すでに3年間も私から学んでくれている生徒さんの個人レッスンを行いました。すでに、108式套路を一通り学び終え、1度目の修正も終了している生徒さんです。残りの2ヶ月弱で、後半の動きの修正をもう一度やり直しています。


この生徒さん、学んだことをしっかりノートにまとめるし、自宅での練習もしっかりするので、動きはかなり良くなってきました。108式套路に関しては、基本的な動きはすでにできていています。


前回の個人レッスンの時に、修正内容を言葉にすることは、やはり難しいと感じました。


動きを修正する場合、デモを行なって、理想の動きを示し、それに近くなるように練習をしてもらう、このサークルの繰り返しをやるのが一般的ではないかと思います。場合によっては、直して欲しいところを、「ここを、こうする」みたいに強調することもあるでしょう。


自分が習っている時にも感じたことがあるのですが、これだけだと、何がおかしいのか、はっきりとはわからないことがあります。ここがおかしいかな、って思ったところも、基本的には、自分の経験に基づく主観でしかありません。仮に、その時は、うまくできて、先生がOKを出したとしても、主観って時が経つに連れてぶれてしまうことがあると思っています。


生徒さんの動きを見ていて、動いている最中の動きや、動き終わった後の最後の姿勢がなんとなくおかしい、と感じることはよくあります。ここで、理想の動きを示すのではなく、何がおかしいのか、なぜ正しくできないのか、を説明してあげられると、生徒さんの納得度合いも高くなります。


私はまだまだ経験が浅く、おかしいと感じる理由が直ちにはわからないこともあります。そんな時は、生徒さんに何度か繰り返し動きをやってもらい、なぜおかしいと感じるかの仮説をいくつか立てます。仮説は、一つだけの時もあるし、複数の時もあります。仮説を立てるときに、生徒さんが理解できるような言葉に落とす必要があります。この作業の時に、自分自身がその説明で納得できるかも、合わせて確認します。


そして、生徒さんに仮説を説明し、それを治すにはどうしたら良いかを終えします。仮説が正しく、すぐに治り、生徒さんに感心されることもあれば、仮説が間違っているため、なかなか治らないこともあります。生徒さんが頭の中では理解してくれているのですが、柔軟性や、姿勢の問題で、すぐには治らないこともあります。その場合には、すぐに治らない理由を説明して、継続すべき練習の内容を考えます。ストレッチを行えば良さそうな場合もあれば、基本高をもっと積んでいいかなければいけない場合もあります。


少しでも、理解をしてもらうために、言語化する、と言う作業は、これからもやっていきます。経験を積んで、言語化できている内容が増えれば、それだけ教える際の幅も広がっていくはずです。


ただ、同時に、自分ができるようになった時に感じた、どこをどう動かすべきか、っていう「感覚」は、言葉にしても伝わりきれないし、そもそも、体の個体差から、同じように感じたとしても、同じような動きができるとは限らない、っていう問題もあります。


老子を読んでいて、言葉で説明しきれないことはたくさんあり、全体を通じて、言葉に対する不信感がかなりあることを感じています。教えるには、言葉にしなければいけない、って今までは思ってきましたが、感覚を共有していくにはどうしたら良いか、これも自分が今後教えていくにあたって抱えていく課題になります。


教えるのは、難しいですね。難しいから、やりがいがあるのだとも言えますが。





 

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