top of page

弟子になる ー ティー・セレモニーってどんなもの?

この間、弟子の種類について書きました。弟子になるためには、ティー・セレモニーが行われます。今日は、これがどんなふうに行われるのかを書いてみます。


弟子になるための明確な基準があるわけではありませんが、呉式太極拳をしっかり学び、後世に伝えることが最も重要視されています。名前だけの弟子は取りたくない、とうちの師匠はよく言っています。中国では、生徒は自分に箔を付けるため、師匠はお金を稼ぐために徒弟制度が使われていることもあるらしいです。ある師匠が亡くなられた途端に、駆け込みの弟子が殺到したなんていう話を聞いたことがあります。

ティー・セレモニーって言っても、ただ単にお茶を飲むだけではありません。弟子になるためのセレモニーはこんな感じで行われます。

1. 師匠と参加者全員が呉式太極拳の先代に敬意を示して挨拶をする 2. 先輩弟子が弟子になることの意味と決まりを説明する 3. 弟子になる生徒が師匠に向かってひざまづいて弟子になる意思を表明する (跪献拜师帖) 4. 師匠がそれを聞き入れ、受け入れを表明する 5. 生徒が師匠にお茶を差し出し、同時に贈り物を渡す (敬茶献礼) 6. 新しい弟子がティーセレモニーを終えると、先輩弟子に挨拶をし敬意を示す 7. 証明書にサインをし、集合写真を撮影する (签证合影) 8. 新弟子がアレンジした食事会が模様される 5の贈り物は、红包(ホンバオ)と呼ばれる赤い封筒にお金を入れて渡すのが多いようです。金額は。。。とりあえずここでは伏せておきます。中国では結構な金額であることもあると聞きました。红包はことあるごとに出てきます。日本のお年玉の代わりにも使われますし、誕生日であったり、結婚式であったり、お金を誰かに渡す時には、赤い封筒に入れることが多いようです。なので、私の机の引き出しにもいつも何枚か入っています。新年にはいろいろなところで無料で配られるので、それを取っておくようにしています。普段はあまり売っているのを見かけないです。中華街に行けばあるのですが。

きちんと技を継承するための制度ではありますが、最近はシンガポールでも伝統文化に対する理解が薄れてきていて、面白そうだから弟子になって、なってしばらくすると練習もしなくなってしまう人も結構います。うちの学校でも、結構そういう人がいて残念です。

伝統が薄れてきているという意味では、うちの学校でも笑い種になっていますが、師匠に提供するお茶を自分で飲んでしまった人もいました。緊張していたのかもしれませんが。

自分が弟子をとることがあるのかどうかはまだまだわかりません。 きちんと教えて、生徒さんの心と身体の健康に与することが大切で、そのプロセスはどうでもいいと思っています。自分に箔をつけるために弟子を取るようなことだけはしないつもりです。


生徒さんの中で、私が教える太極拳に価値を見出して、しっかり学びたい、後世に残したいと感じる人が出たら考えたいと思います。自分の目標は、弟子を取ることではなくて、そう感じてもらえるような教室を運営し続けることですね。


これからもいろいろな話題を紹介していきます。

最新のブログをご覧いただくために登録をお願いします



閲覧数:20回0件のコメント

最新記事

すべて表示

先日のブログでも書きましたとおり、本帰国は2月9日です。それに向けて色々な準備をこれからしていきます。 自分の会社を畳まなければいけないし、その関連でやらなければいけないこともありますが、やらなければいけないことの大枠は大体把握できました。これからは、それを粛々と進めていくだけです。 今回のシンガポール滞在は、2015年からでした。その年から師匠について太極拳を学び始めたので、8年以上にわたり指導

昔、一緒に太極拳を学んでいる人から、自分で自分の問題を治せるようになれば、とりあえず一人前、という話を聞いたことがあります。後2ヶ月でシンガポール、そして師匠からの直接の指導から離れようとしている私にとっては、自分で自分の問題に気づくことができるようになっているのが、これから成長するための条件です。 人から指摘されてそれを治すのは、簡単です。自分より上手い人が自分の周りにいて、その人の言うことを素

本日、本帰国のためのフライトを予約しました。2月9日の朝の便で日本に帰ります。9年近くにわたるシンガポールでの太極拳の修行生活も区切りがつきます。 あと残り2ヶ月、と思うと、正直、学び残したことはないか、できないことはないか、って不安になります。 シンガポールの学校では、誰よりも師匠から師事を受けた時間は長いし、練習も多くしてきました。姿勢が必ずしもよくなく、柔軟性もない、言葉のハンディキャップの

bottom of page