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執筆者の写真Mitch Sato

太極拳ができるようになるまで④ - 「『修正』の実際」

前回のブログにも書いた通り、自分の套路を見つめることができるようになるために、師匠に合格を出してもらうための過程が「修正」だと私は理解しています。

私の師匠は、先代の師匠から、9巡にわたる修正を受けたそうです。108式套路を初めから最後まで、一つ一つのステップを師匠の前で実演して、いろいろな問題点を指摘してもらいます。指摘された問題点を治していきます。


私の場合は、週2回から3回の個人レッスンを受けてきました。4巡目の修正ぐらいまでは、ひと回り半年ぐらいですみました。5巡目ぐらいから修正内容がさらに詳細になったため、ひと回り1年程度かかるようになりました。他の弟子と比べて、かなり多くの時間を私に師匠が割いてくれたと感じます。師匠の忍耐強さに感謝しなければいけません。


現在、9巡目の修正を受けていて、108式の90番目ぐらいまできているので、来月末ぐらいには終了する予定です。それをもって一応の合格ということになります。9巡という数が重要なのではありません。才能のある人は、もっと少なくても良いかもしれないし、時間が十分に避けずに、なかなか教えられた内容が身につかない場合には、もっとかかってしまうかもしれません。


私にとっては9巡という数字は、意味があります。内容はともかくとして、少なくとも数値の上では師匠に並ぶことができたからです。前に書いた套路を5000回やるということもそうですが、弟子である以上、師匠の通ってきた道を同じように辿るというのは当たり前だと思うのですが、今のところ、他の弟子で同じように挑戦をしている人はいないようです。


繰り返し行われる修正ですが、修正の順番の体系がかっちりと決まっているわけではありません。もちろん、基本的なことから治していくのですが、うちの場合には、体系化を試みた人はいないみたいです。習う人の身体の癖や体力の有無もあるので、きちんとした体系化は難しいかもしれませんが、いつか試みてみたいとは思います。


なぜ、繰り返し修正することが必要なのでしょうか?


私のように才能のない人にとっては、一度では教えられたことをきちんと吸収しきれない、というのが一番の理由です。教えられたことの50%しか吸収できなければ、吸収できないことは、次のラウンドの修正の時に再度指摘してもらわないければ治らないことになります。


108もステップがあると、後の方のステップで追加で受けた修正が、既に習い終わった似ている動きに影響してしまうこともあります。今回習ったこの動き、以前習った動きもきっと同じようにやらなければならないだろう、って思ってしまうわけです。これも次のラウンドで再度指摘されることで治っていきます。


何かができることを前提としないと治せないこともたくさんあります。例えば、身体をリラックスさせること。リラックスをすることは、初学者にも言いますが、本格的には、動きが自然にできるようになった後でないとできないと思います。実際に、套路のそれぞれの動きがどのように使われるのか、それを意識してどう身体を動かすべきか、というのもかなり習得が進んでいないときちんとできない内容です。知識として教えることはできるのですが、身体がついてきません。


師匠は、生徒の実演を見て、何を優先して治すべきかを考えます。上記のような理由で、一度では治しきれないので、師匠にとっても、生徒にとっても、「正しさ」を追い求める旅は、忍耐強くなければできない旅です。


自分もいつか、そんな旅を一緒にできる生徒さんと巡り会えることを祈って、今は自分を鍛えることを続けます。




これからもいろいろな話題を紹介していきます。

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