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執筆者の写真Mitch Sato

「易の話」(1)ー 二つの側面

昨日のブログで紹介した易に関する様々な本のうち、一押しの本の紹介です。いろいろな内容が含まれているので、何度かに分けながらご紹介していきたいと思います。昨日のブログは下記のリンクからご覧ください。



この本、前半と後半では内容が大きく異なります。冒頭で、易というのは二つの側面があるということを説明してくれます。


一つ目は神秘的な占いの書としての側面です。人が判断に迷って、人間以上の神秘的な力に頼り、何をしたらよいか、何をしてはいけないかを教えてもらうということです。


もう一つは、思想の書としての側面です。易に書かれている内容の解釈を通じて、理性の働きによって、自分はどう生きるべきかを学んでいくということです。易が五経の一つとして儒教の重要な経典の一つであるというのはこちらの側面の現れです。


この二つの側面を公正に解説した書籍は中国でも少ないそうで、本書は中国語訳が出版されているそうです。占いの側を重視した本は神秘的な話になりすぎてまともに読めなくなってしまうものも多いようです。


「大事件が起こって決断しかねるときには占筮(せんぜい)にたよる。しかし平生には「易」の文書を吟味して人生の意味を考え、われとわが身の在り方を考える。それが理想的な態度だと考えられた」そうです。


この本の前半は、占いの書としての易の説明になります。太極拳の理解を深めるために易の中身を知りたい人はここはとりあえず読み飛ばしてしまってよいと思います。初めの二つの章の内容はこんな感じです。


1.易の構成 

2.占いとしての易 ー 実際に占いを行う方法


第一章は、占いを行うにあたって知っていなければいけないそれぞれの「卦」の成り立ち、種類などの説明です。易経の本体がどんな構成になっているかを知ることで、占いを行った際に易経のどの部分を読めばよいかを知ることができます。


「卦」っていうのは、下記のうちの教室のロゴもそのうちの一つですが、6本の棒を並べたものです。それぞれの棒が真ん中に穴の開いたもの(陰を示します)と穴のないもの(陽を示します)のいずれかで構成されます。6つある棒を置く位置に対して、それぞれが陰、陽の二種類になるので、組み合わせは全部で64(2の6乗)ということになります。易経の本体は、この64種類の卦を一つ一つ説明していきます。この本の中では、個々の卦の意味についてはあまり触れていません。






第二章の主眼は、実際に占いを行う手順です。50本の棒を使って、どのようにして「卦」を得るのかを学びます。


実際に占いを行うには、得られた「卦」を易経に書いてあることに従ってどのように解釈したらよいかを知る必要があります。本書では、「占断」は主として占い師の解釈如何にかかってくることになるので、難しいとだけしています。


私が思うに、占断は、占い師の経験、どれだけの解釈を重ねてきたかによるのだと思います。したがって占いをやってみたい方は、まず手始めとして、他の人が個々の「卦」の解釈をどのようにしているのかを読んでみる必要があると思います。そのために、下記の本はおすすめです。



太極拳のために易経を読む方には、個々の「卦」の具体的な解釈、例えば、転職や結婚をすることの善し悪し、入ろうと思っている会社や結婚しようと思っている人との相性、なんてところには踏み込む必要はないと思います。


むしろ「易の話」の後半に書かれている「思想の書」としての側面をより重視する必要があります。


(続く)





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